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政男兵記―私の前世は日本兵―

日本兵だった前世の記憶を掘り起こし、かつての人生を思い出していくブログ。

日中戦争で俺はシナ人をたくさん殺した。

 ついに見えてきた政男さんの人生。
 幼少期、軍服姿、兵営での光景……。
 だが、どこの部隊に所属しどこへ出兵したのかはまだわからない。
 出征した所がわかれば、どこの部隊かわかるかもしれない。と思い、私は「政男さんはどこへ出兵したのか」と聞いた。
 すると、浮かんできた「志那」の二文字。
 志那……それは中国。
 その言葉に懐かしさを感じた途端、私は70年越しの狂気にとりつかれるのだった。

 
 ◇ ◇ ◇
 
 
 もし中国と戦ったなら、政男さんは1937年から1945年に起きた日中戦争に参加していたということでしょうか。
 ……と思った時、政男さんの声がしました。
 
 
 ――俺はシナ人を殺した。
 ――日中戦争で。
 ――シナ人を殺した。
 ――たくさん。 
 
 
 心臓が高鳴り出しました。
 え……ちょっと待ってくださいよ。
 本当になんかやばいって!
 すると、政男さんの声がだんだんと狂気じみたものになっていきました。
 
 ――シナ人殺した。
 ――たくさん殺した。
 ――たくさん殺した。
 ――殺した、殺した、殺した。
 
「シナ人、殺した」という政男さんの声が、バグったCDみたいに繰り返されます。
 同時に狂気や喜びが混じったような、殺伐とした感情に囚われました。
 私はその時、物凄く恐怖しました。
 頭を両手で抱えて、頑なに目を瞑り、やめてやめてと訴えました。
 でも、声は止みませんでした。
 
 ――殺した、殺した、殺した……。
 
 頭が興奮状態になり、眠気はすっかり吹っ飛び、私の脳はその声にとりつかれました。意識的に止めようとしても、無駄でした。
 暫くすると、胸の奥からわけのわからない強烈な狂気が湧いてきました。
 それに翻弄され、私は意思に反してにやつき、笑い出しました。
 
 シナ人、たくさん殺した、シナ人、たくさん殺したという言葉が、脳内で絶えずこだまします。
 その日、狂気と恐怖に支配され、私は全く眠れませんでした。
 
 にやつき、笑いながらも、私は何度もやめて、やめて、もうやめてと訴え続けました。
 しかしそれでも声は止まらず、気がつけば午前4時を過ぎていました。
 瞑想をしたのは昨夜の11時頃、つまり五時間くらいも私は狂気と恐怖にとりつかれていたのです。
 
 正直、気が狂いそうでした。
 そして、政男さんがとても怖くなりました。
 
 これ以上、政男さんの記憶を掘り起こしたら本当に気が狂ってしまうかもしれない。もう前世退行はやめよう、本当に危ない。
 と思い、私はそこで政男さんの記憶の掘り起こしを完全に諦めるつもりでいました。
 
 ごめん、政男さんのことはもう知りたくないよ。と言って、私はなんとか狂気を沈めようとしました。
 すると、狂気は徐々に収まっていき、冷静な気持ちになりました。これでゆっくり眠れる……と思いきや、政男さんの声が聞こえたのです。
 
 
 ――だって、仕方なかった。殺さないとこっちが殺られていた。
 
 
 悲しいような、諦めたような、切ない気持ちが伝わってきました。
 殺さないとこっちが殺られていた。……確かに、それは戦場の兵隊さんにとっては当たり前の思考かもしれません。
 良心を押し殺し、殺さないとこっちも殺られるだから殺す、という思考に染まっていたのは政男さんも同じだったでしょう。
 
 では、あの狂気は……良心を無くして敵兵を殺すことだけを考えた政男さんの思いだったのでしょうか。
 そう思うと、不思議と政男さんを怖いと思う気持ちは無くなりました。
 
 それから、私は冷静に考えることにしました。
 
 シナ人……恐らく、政男さんは中国に出征し中国軍?と戦ったのでしょう。といっても、中国のどこに? そこらへんはまだよくわかりません。
 ミリオタさんならこの情報だけでどの部隊かわかるかもしれませんね。生憎、私はミリタリーにわかなのでわかりません。
 ミリオタさん、よかったら何か教えて下さいな。
 
 話を戻します。狂気から覚めた私は、政男さんの気持ちをほんの少しだけ理解した後、安らかに眠ることができました。
 それから目が覚めて出勤してからずっと、私は政男さんのことを忘れていました。本当はまだ、私を支配したあの狂気がちょっぴり怖かったのです。
 
 仕事が終わった後も、政男さんの声は聞こえなかったし私も政男さんのことを気にしてはいませんでした。
 なんだか、政男さんが赤の他人になってしまったような寂しい気持ちになりました。
 
 夕食後、私はいつものように自室にこもり、好きな歌手グループamazarasiの曲をYouTubeで聴いていました。
 
 最近発表された『命にふさわしい』という曲です。
 スクエニの最新作ゲーム『ニーアオートマタ』のイメージソング?らしいです。
 個人的に神曲です。
 
 それを聴いていると、いつの間にか私は政男モードに切り替わっていました。
 
 
 ――まるで俺たちの歌だな。
 
 
 という政男さんの意思が伝わってきました。
 うーむ、確かにそうかも。
『命にふさわしい』の歌詞は、PVに登場する無惨に解体されて捨てられる人形たちの怨みや憎しみを謳ったような感じだしなぁ。
 当時の兵隊さんたちも、戦争の道具としてお国のために戦え、死んでこい、と言われて妻子や家族を置いて本土を離れ、悲惨極まる戦場で命を落としていったことでしょうし。
 
『命にふさわしい』の歌詞は、そんな兵隊さんたちの心境にも当てはまるような気がしますな。
 詩的で儚くて美しい軍歌として聴くのも悪くないかも。
 
 私は暫し、政男モードで『命にふさわしい』を聴き続けました。
 すると、不意に脳裏に広大な田んぼの光景が浮かんできたのです。空は真っ赤な夕焼けに染まり、雲間から煌めく太陽が見えます。
 
 懐かしい、と思えました。
 同時に、本土の田んぼとよく似ているなという思いが伝わってきました。
 
 これは、中国の田んぼ?
 とても広くて、田んぼの彼方には緑の山々があります。
 日本とほとんど変わらない、美しい田畑です。
 
 政男さんが中国へ出征した頃に見た光景なのでしょうか。
 この時、また私は政男さんと一体感を覚えたのでした。
 
 やっぱり、政男さんのことを知りたい。そう思えてきました。
 せっかくここまで自分がかつて政男さんだったという確証を得てきたのだし、どうせなら政男さんの人生の全貌が見えるまで記憶を掘り起こし続けたい。
 どんなに恐ろしい記憶でも、見てみよう。私はそう決心することにしました。
 
 その日の夜、私は恐ろしくてたまらなかった政男さんの日中戦争参加時の記憶について調査することにしました。



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